“風の歌を聴け” 村上春樹

この本の出だしはこうだ。

完璧な文章などといったものは存在しない。
完璧な絶望が存在しないようにね。

風の歌を聴け (講談社文庫)

風の歌を聴け (講談社文庫)

 

あまりにかっこいい出だしで始まるこの小説は村上春樹のデビュー作。久しぶりに村上春樹の小説を読んだ。

私と村上春樹は(と書くと大それた感じがする)、小説とのお付き合いはあまりない。父がそこそこ読んでいたようで家にあった村上春樹の小説からノルウェイの森を選んで大学の時に読んだら独特な比喩表現が多くてファンタジー小説のようで現実味がなくて、正直全く楽しめなかった。あれだけ人気の村上春樹を、なぜ私は理解できないんだろう…と悔しくて無理矢理に上下巻を読みきった。

今度は家にあったこのエッセイを手に取った。

走ることについて語るときに僕の語ること (文春文庫)

走ることについて語るときに僕の語ること (文春文庫)

 

 この本を当時の私はブクログでこう書いている。

この本のなによりも素晴らしいところは、誰もが経験してきた走ることやそのつらさについて、どうしてここまで言葉巧みに表せるんだろうという点だ。思わず唸る。

普通なら「走って辛かった。でも有意義。」それで終わる文章なのに。

自分のこと、他人のこと、いっぱいいっぱい物事を考えることには、損はないと改めて感じた。
物事をこれからも考え続けよう。

ふむ。もう一度読みたくなった。以来彼のエッセイは好きになって村上ラヂオとか旅エッセイとか読んだ。その中でもこれは自叙伝のようで人としてすごく好きになった。

職業としての小説家 (新潮文庫)

職業としての小説家 (新潮文庫)

 

さて、エッセイばかり読んで村上春樹を知った気になっても…とこの度デビュー作を購入して読んでみた。そしたらそれが結構スラスラ読めて楽しめた。私の読解力もあがったのかしらん、とウキウキしながらハルキストのこの本の書評読んでいたら、村上春樹の中でも最も難解な小説の一つと書いてあった。えーー。多くの伏線の張り巡らせ、とあって、二回読んだけど全然気づかなかった。彼を理解できるのはまだまだ先のようです。

California Girls

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